MIKOTO NO TUTAE 学校編(2)

 

「ふぁぁぁぁぁぁああんっ!!」

 びちゃびちゃびちゃびちゃ。

 熱い、女の匂いが部屋に充満している。若い雌が発情し、絡み合っている匂いだ。しかも、複数。

「あっ・・・そこっ・・・そこだめっ!!」

 びちゃびちゃびちゃびちゃ。

 上に乗っている少女の指が、下の少女の乳房に触れる。思わず声が、半オクターブ上がる。

「っ・・・いやっ・・・ああっ・・・いやぁ・・・」

 その隣では、片手でシーツを、もう一方の手は自分の顔に当てて羞恥と恍惚がせめぎ合っている。共鳴するかのように、お互いの快が行き来しあっているかのように、彼女らの声は激しくなる。

 隣の二人の少女は唇を合わせてはいるが、お互いの秘所から沸き立ってくる性感に息は荒く、咥内を弄る舌をかみそうになりながら、頭と腰をくねらせる。

 部屋にひしめく女の数は六つ。狭い部屋の、ベットの上に寄り添うように快楽を貪っている。快楽を与えているただ一人を除いて。

 その一人と言うのが、八重垣魅琴。右手に二人、左手で二人、そして、股間に一人。ベットの上に寝かせてやって、一人で五人を責めている。額に汗がにじみ出ているが彼女に愉悦の表情は浮かばない。ただ、自らの技巧を尽くすのに集中している。

「ひっ!ひっ!ひっ!!!」

「いくぅ・・・いくぅううっ・・・!!」

「みことさま,、みことさま、みことさま・・・」

 感極まってあらぬ言葉を口走る、五つの口。魅琴の指先は凄まじいほどの速さと正確さで五つの女陰を刺激する。少女たちの柔らかでいながら貪欲な洞穴から、じゅくじゅくと粘液の泉が湧き出てくる。指の滑りが良くなると、愛液が熱を帯びるほど素早く激しく擦りたてる。自分の腰を使って、お互いの大事な部分同士をこれ以上なく扇情的に愛し合っている。

 しかし、魅琴は自分の快楽のためではなかった。先ほど魔性の物を封じるのに、思わぬ痛手を被っていた。彼女も、油断する事ぐらいあるのだ。人の目では分からないが彼女の霊気は非常に削られていた。魅琴はそれを補うのに、乙女の生気を喰う事にしたのだ。親が帰って来ない下僕の家に、仔猫達を呼べるだけ呼びつけて乱交に耽りつつも、彼女等の生気を吸収している。

「やぁぁん・・・だめぇ・・・」

 右手で弄られている少女が、求めつづける唇から逃れてうめき声を上げる。下になっている娘はただただ目を白黒させて言葉にならずに居る。普段なら甘い言葉の一つでもかけてやる所だが、魅琴にそれだけの余裕は無かった。一緒にイってしまえば、生気を吸い取ることは出来ない。あくまで冷静に、少女達の身体を観察し術法に思念を寄せている。

 簡単な事だ。軽よりも普通車の方が燃費は高い。トラックともなるとなおさらだ。馬力の分だけエネルギーが必要になる。魅琴は燃費がいいほうだが、それでも無から有を生じられるほど器用ではないし、火急の事ゆえ、食事で摂りえる量では間に合わない。食物が消化されるのを悠長に待って居られなかった。

 理由はどうであれ、生贄の彼女らは呼びつけられて幸せであった。同じベッドで愛されることで、彼女らには奇妙な連帯感が生まれていた。たまにこうして“みんなでやる”事が愛されている証だと思っていた。最も、命まで取るつもりは、魅琴には無い。だからこそ、五人も必要になるわけであるが。

「みことさまぁ・・・」

 うわ言を魅琴は無視して、作業を続ける。魅琴にも彼女達の想い、そして快感は伝わっているのだが、それよりも自分の命が大事であった。今すぐにでも生気を吸わないと常人よりも霊力を消費する自分を持たせることが出来ない。事実、今の魅琴は普通の人間よりも冷たくなっているのだ。

 指と秘所に粘膜が絡みつく。娘達の子宮がどくどくと沸騰している。振動が魅琴に伝わってくる。もうすぐだ、もうすぐ絶頂に達するだろう。

「くっ・・・ふぅうっ・・・」

「ひっひっひっひぃ・・・」

「くぅっ!」

 魅琴が歯を食いしばる。その瞬間、五人の声で、部屋の空気が振動した。びくびくと蠕動する女体から、彼女らの気が射精の様に放出される。目くるめく快楽、燃え上がる生命力が女陰からぴゅうぴゅうと吹き出てくる。それを魅琴は自らに導きいれる。自らの丹田に、自らの子宮へと。

 腕を伝い、足を伝い、背骨から脳を巡り行く、五人分の性エネルギー。やもすれば、魅琴自身流されそうに成るほどの重い快感だ。それを神経を集中して、自分の命へ取り込んでいく。異質なものを同化させるにはそれに負けない意思の強さが必要だ。身体は勝手に反応している。勃起し、破裂しそうな乳首やクリトリスを押さえ込むために、男が射精を我慢するように、眉間を顰めて刺激に耐える。

 ふぅ・・・暫くして、魅琴は溜息をついた。そのままぺたりと床に座り込む。

 流れる汗をぬぐう。やっと落ち着いた。両指と股間から力が流れ込んでくる。それは暖かい血が体中に流れていくように、魅琴に活力を運んでくれた。どくどくと、心臓が景気よく音を立てて脈動する。

「良かったよ。」

 魅琴は余韻に浸る少女らをそのままに立ち上がった。タオルで身体を軽く拭うと、下着を着け始めた。

「・・・みことさま・・・こんどはわたしが・・・」

 そう言って引きとめようとする少女に魅琴は黙ってキスをする。

 ちゅっ、ちゅっ・・・くちゅっ・・・

 咥内だけの感覚だけで少女は二度目のアクメを迎え、すとんと布団の中に倒れこんでしまった。他の娘達は魅琴が後支度をしていることすら気が付いてなさそうだ。魅琴は服と髪を整える。

「私は先に帰るから、後は貴女たちで楽しんでいてね。」

 扉から出るとき、魅琴はそういい残した。しかし無理だろう。彼女らの生気をあらかた吸い取ってしまったからだ。一晩寝ないと目が覚めまい。万一親が帰ってきたときには一悶着起きるだろうがサービス旺盛な魅琴はきっちり結界を張っている。だが、万一の事態を想像しながら魅琴は家を後にした。

「ふう・・・さすがに喰い過ぎたかな。」

 黄昏てきた道を歩きながら、魅琴は呟いた。ぽかぽかと、自分の下腹部が暖かい。ちょっと幸せな気分になっていた。うす暗くなり始めた空と、冷たくなりかけた空気。清々しいほど美しい自然の流れ。この世界に人間の知覚を超えた存在が闊歩しているなど嘘のようだ。

 しかし、自分に異世の力が備わっており、それが異世の存在を刺激する。先ほど存分に浴びせかけられた妖魔の血、その呪いの強さを思い返していた。それを乙女の生気で祓い去った。異常の力を我ながらマジマジと感じていた。

「!っ」

 しまった。キャラでもないのにナイーブに成りすぎた。

「黙ってついてくるんだな」

 油断に油断を重ねる自分が馬鹿らしくなるほど、判りやすい気配を取りそこなった。後ろ手にされた右手が痛み、背中にはナイフが突きつけられている。捕まれた手首から、相手の力量が判断できる。立ち技系の格闘技、拳で妖魔を屠れるレベルだ。声が降りてきた高さと質を考慮すると中背で神経質、年齢は30は越えてまい。だが、残酷なことも平気でやる男だろう。

 参ったな。この時間帯で拉致られるとは魅琴も少々不注意だった。異常のモノには力を発揮できるのだが、通常の、素の人間には魅琴も一介の小娘でしかない。

 素人なら何とかなるが、所詮女の力、相手が裏社会の玄人、拳で世の中渡っているような輩だと手に負えない。同時に、様々な憶測が浮かぶ。さっき倒した魔が死に際に人間をそそのかして、自分を亡きものにしようとしているのかもしれない。

 最悪の事態に備えつつも、機を待つために相手に従うことにした。少し行った路地で、ちょいとイカシた軽のワゴンに二人の男が待っていた。一人がドアを開け、魅琴が押し込まれる。座っていた一人が手際よく鉄の手錠を腕に掛けた。

 自分を連れた男は思ったとおり若く中肉中背、服のセンスが良ければなかなかイイ男だろう。とは言えど、その異様な、素人でも気がつくほど多くの人を殺めた雰囲気はいかんともできまい。残りの二人も似たような感じだが、無言でへりくだる態度から彼の舎弟と言ったところか。用意の良い所を見ると計画的な犯行だろう。魅琴は少し安心した。車に乗る時が一番危険だったのだ、あの時撃たれていれば助からなかっただろう。

 男は車を走らせる。助かる方法は幾らでもあるのだが、トラブルの芽は摘んでおいたほうが良いと判断した。相手が妖魔である可能性は無い。あれば気配で察知できる。ただ、得体が知れないのは確かなので体力は温存する。ただ、へらへらしている両隣はどうも気に入らない。イマドキ茶髪ロンゲと坊主頭の髭付きは、魅琴の趣味からかなり遠い。もちろん、それでも、少しでも素振りを見せれば急所に突きが入るだろうか。腕が悪くなさそうなのが、余計にムカつく。

 あれこれ考えているうちに、車は止まった。着いたのは休日の町工場のようだ。なるほど、少し居座るにはいいところだろう。石油の匂いが充満する、旋盤と鉄くずが転がった広い部屋の真中まで押されると、男達はようやく口を開いた。

「さて、よくも人の女寝取りやがったな。退魔師の魅琴さんよぉ」

―名前は知ってるのか、どこで知ったんだろ―

「アニキの女を誑かすとは、汚ねぇ術者だなぁ」

―キレイな術者って居ないけどね―

「今からたっぷり、オトコのアジを教えてやるぜ!」

―それはご丁寧にどうも―

 何でも良いが、息が臭いのが勘弁できない。相手の目的は把握できたのだが、数いる自分の“お友達”の中でこんな連中と関わっている奴を思いつくことは出来なかった。

 少しは泣き叫ぶかと思っていたらしく、魅琴が黙っているのが気に入らないようだ。耳にピアス(穴の場所が失敗しているし、デザインがダサい)をした、子分の一人が近づいてくる。

「お高く止まりやがって!」

 パン!

 魅琴の頬が赤く腫れた。

 彼女は今日の不運を呪う。魅琴が吸収しえる生気には限りがある。さっきやっちゃったから、今はもう“おなかいっぱい”なのだ。さて、ならば他にどんな手があるか?魅琴は目蓋を閉じて思案する。どの手が一番楽で一番安全か、足がついては元も子もないから。そして、最も重要なこと、どうすればコイツらにグウの音も出ないほど絶望を味あわせてやれるだろうか?

 魅琴の服に力がかかった。べりりりりっ、耳障りな音とともに魅琴のブラウスが破られる。顔を顰める彼女にお構いなく、スカートはナイフで切り裂かれた。ブレザーは腕がつかえないところで引っ掛けられた。魅琴の肌はつややかで、無駄な肉が無い身体は締まって張りがある。その大部分が外気に晒された。立ったまま、足を広げさせられる。

「コレがなんだか分かるか?」

「ヤクだよヤク、コレをお前のマンコに塗り込んでやるのさ!」

「・・・・・・」

「その良い子ぶった仮面を引っ剥がしてやるのさ。ちょっと術が使えても、自分が女で、雌豚ってことを思い知らせてやるぜ」

 そうか直美のアレか。魅琴は一人の少女を想起する。可愛い子だったが、なかなか肌を許してくれなかった。ドンファンのように、落す過程を久々に楽しめたのだが、初めての夜、彼女の太腿にクスリの痕を見つけた。気になって聞いてみたのだが、口を閉ざしていわなかった。言いたくないの分かるわ、こんなアホから脅されてたなんて知られたく無いわな。

 敢えて記憶を読まなかったのが災いだった。今は抜き差しなら無い状況に追い込まれている。

「後悔するよ?」

「へっ! 思い知らせてやる!」

 ドスの利いた魅琴の忠告を無視して、後ろの男がパンティを切り裂いた。綺麗に整えられた陰毛と、こんもりと左右対称な恥丘が目に付く。男はそこに目をやる間もなく、唾をつけた上に白い粉をまぶした指をまっすぐに割れ目へと持ってゆく。

 ずん、頭を叩かれたような衝撃の後、体中に怪しい愉悦が広がった。

「クッ………」  男たちを見遣る魅琴の瞳は少し、潤んでいる。上目遣いの彼女の強がりも、荒い吐息と共に次第に力が薄れていく。とろんと澱んだ瞳は、レイプという事態でなくても、男の股間を痛く刺激する。

 坊主頭の男が、彼女の両足を掴み上げた。

「足が………」

 力を失った下半身が、V字に吊り上げられる。上半身にも力が入らず、仰向けに転がされる格好だ。スカートはまくりあがり、艶やかなアンダーヘアとピンクに濡れた下の唇が、臭気とともに晒された。

「さて、上から…下かな? とりあえず脱いでってもらうかな」

 ロンゲ男が、いやらしい指使いで魅琴のブレザーを引きちぎるように脱がす。腕のところで抵抗するものの、それは返って彼女の自由を奪ってしまう。だが、男は無理矢理に、痛みに顔を顰める魅琴を無視して上着を取りはなった。まずは、コケティッシュなネクタイとワイシャツ姿の少女がまず出来上がった。

「なかなか良い図だな」

 魅琴を連れてきた男が、嘲笑を浮かべながら魅琴を見下ろした。魅琴の口は閉じられていたが、秘所は悲鳴を上げるが如く、大きく開き、パクパクと喘いでいる。

 坊主の男が待ちきれなくなったのか、ネクタイを引き抜き、清潔感溢れる、白いシャツに手をかけた。

 パチパチパチパチ、ボタンが勢いよく、部屋の奥へと弾け飛んでいく。

「っ!」

 荒々しい扱いに、魅琴はうめいた。だが、彼女を守る衣服は、後はブラジャーとスカートだけだ。

「その胸、本物かなぁ」

「最近のブラジャーは、精巧だからなぁ。 うっかりするとすぐ騙される」

「確認しなきゃダメだよなぁ」

 確認するも何も、魅琴の胸はそれほど大きくない。だが、脂ぎった指先が胸元に来ると、魅琴は少なからず反応を示す。次第に乳首が堅くなり、乳房全体が熱く腫れあがっているのを感じた。

 ブラジャーは不自然なほど、ゆっくりと外された。じわり、じわりと。まるでストリッパーが焦らすかのように、爆弾でも解体処理しているかのように、ゆっくりと、丁寧に。今までの荒々しさから一転した責めが、魅琴の心に揺さぶりをかける。 その度に、魅琴の股間にも次第に熱が集まってくる。先ほどよりも一回りは花弁が、拡がっていた。

 ブラが床に落ちるのと同時に、胸がぷるんとまろびでた。

 小ぶりであるが、形の整った乳房は、ブラをつけていたときと寸分変わらず、ふっくらと前に突き出ている。発達途上で堅さが残りながらも、幾らでも舐ぶったり、捏ねたり、いたぶってみくなる胸だ。もちろん、男たちは欲望に忠実である。

「ん…っふ……ん………」

 顔を背けながらも、理性は快感を素通りさせる。ブラが落ちたのを合図に、三人の男たちは自らの技を繰り広げる。坊主頭は彼女の秘所に顔を近づけ、息を吹きかける。ふーぅ、ふーぅと、直接触られるよりも何倍も魅琴の神経に障る。

 ロンゲの男は、執拗に胸や首筋、脇腹を蹂躙する。そして彼らのボスはピアノでも弾くかのごとく、繊細な性感帯を正確に抑え、性の楽器と化している魅琴を可愛らしく鳴かせる。

「そこらへんで………止めたほうが………いいよ………」

「頑張るじゃねぇか」

 コリコリと、乳首を責められながら、小陰子を舐められながら、尻の穴をゆっくりと広げられながら、少女は呟いた。彼女自身は忠告したつもりであったが、男達は絶望の中での必死の懇願と受け止める。常人では、理性が吹っ飛んでいる牝豚と化しているだろうが、さすがは異世の力を持つものだと、男たちは感心するだけだった。

「じゃぁ、こいつでどうだい?」

 男が持ってきたのは注射器だ。男たちは更なる楽しみを見出そうとしている。薬物は塗布よりも、体内に注入するほうがよほど効き目がある。問題はその場所だ。腕か? 太腿か? 察しの良い魅琴は、男がどこに注入したいか、はっきりと理解した。だが、彼女の今の力では男の腕を振り払えない。

 魅琴の、キレイな紅色で、ビーズ球のように艶やかなクリトリスに、ゆっくりと針が突き刺さった。

「ッぅううううぅううぅっ?」

 痛覚が悲鳴を上げるが、それは一瞬。注入される液体と共に、全身の感覚と、思考や魂がどこぞの闇へと流される。

「さぁ、抵抗してみな?」

 抵抗? 何だろう、その言葉は。言葉? 何だろうその思考は…。思考? …なん…だ…ろ………

「・・・ひぃ・・・・・・あ・・・うう・・・」

 ぬちゃ。唾が潤滑油となってまだ硬く閉じている魅琴の花弁から音がする。いつのまにか手錠もブレザーも、そしてブラも剥ぎ取られて小ぶりであるが形の整った乳房が男は無作法に、可憐な果実を掴みとり、握りつぶす。レモンなら潰れて汁が滴るところだが彼女の乳房は弾力に富み、掌を押し返しつつも次第に頂点である赤い突起が実の様に規律し始めた。

「イっちまったな」

「もう駄目だぜ、目の焦点が合ってねぇや。」

 普段ならきついほど真っ直ぐな彼女の眼差しが、暗く濁っていた。必要なとき以外開かない唇も、今はだらしなく、開きかけている。

「あぅぅん・・・あうぅ・・・」

 ぴくぴくぴく、まさぐる指をどけようともしない。むしろ押し付けようとする。冷ややかだった下腹部が熱を持ち、荒い息をするように花弁は開きがちになる。いつのまにか冷たい床に横たわっていたが、平衡感覚を失った彼女は宙ぶらりんに吊るされているように感じた。

「あああんっ・・・あああんっ・・・はっはっはっはっ・・・」

「こうなると、さすがの術者も形無しだな」

「いくらなんでも、人間だからな」

 彼女にはいつものクールさは残っていない。ただ外部からの刺激が内部を燃焼させ、突き上げる衝動に反応する肉人形でしかない。六本の手にまさぐられながら、段々と大きく、彼女は揺れていく。

「はぁ・・・ふぅん・・・」

 魅琴は進んで四つん這いになった。もう立っていられない。広がりきった女性器からは滴がたらたらと溢れきっている。口からは唾液が糸を引き、汗が彼女の肌に一層の輝きを与えていた。

「早く舐めろよ、おれのチンポを!」

 一足早く全裸になっていたロンゲの男が、一足早く勃起した一物を魅琴の口に近づける。一応鍛えては居るがそれはあくまで自分のエゴのため、誰かを守るためでは無い事は、下着も肌も薄汚れていることから分かる。自己主張のために膨れ上がった筋肉と、一物。だが、彼女の壊れきった嗅覚は吐き気を催すほどの恥垢の臭いも芳しく感じてた。

「ああう・・・うぐっ・・・」

 ちゅっ、ちゅっ、ちゅっつ。

「おお、うめぇ!! 上手いぜこの女!!」

 意識が跳んでいるにも関わらず、魅琴は男根の頭部を器用に頬の裏に擦り付け、舌でちろちろとカリの裏や柱を舐めていく。唇や歯で微妙な強弱をつけながら、。

 残った二人は刺激的な光景に我慢できなくなり、ズボンを下ろす。先に魅琴の身体に辿り着いた男が、前戯も行わずに挿入しようとする。だが、思いもよらず、なかなか挿らない。

「うぉっ? なかなか…キツイぞ………」

 未成熟な彼女の膣は、男(もしくはそれに類するもの)を受け入れた経験は少ない。処女というわけでもないが、薬で弛緩したとは言え、本能によるものだろうか、関所は堅く閉ざされていた。

「こうしてみるとどうだ?」

「あふぅ………」

 力が抜けると、あっけないほど簡単に男性自身を飲み込んだ。いや、飲み込みつづけようとしている。

「うぉー! すげぇー!! すげぇ具合いいぜぇ!!」

 全体で吸いつき、弾力ある襞がまとわりつく。リズミカルな振動が男の急所を小刻みに、そして優しく抽出しようとする。まさに名器。あまりの甘美さに、動くことすらめんどくさくなった男は魅琴の下に身を潜らせる。男が思ったとおり、薬に漬かった少女は自分で腰を振り、身をぶつけ合わせてくれる。

「ふぅううぅぅぅぅんっ! ううううううん!!」

 口がふさがれているが、一層大きな声で魅琴は喘ぎ始めた。

「ケツの穴頂くぜ! うぉぉっ入るじゃないか! こっちもすげぇぇ!!」

 貧素なボキャブラリーを発しつつ、最後の男が後ろの穴を犯した。コチラもいつのまに緩められたのか、男性器をするりと吸い込んだ。ぎゅうぎゅうと、堅い壁が締め付ける感触。十分に名器であるアナルが男自身を喜ばせる。

「お前、後で交代だぜ?」

「分かってら、すげえぜこの女。さすがは血統が違うな」

「おうおう!行くぜ行くぜ!!」

 勝手なことをいいながら、一人の少女を玩ぶ。彼らは自分の快楽のみを感じていた。余りに魅琴の身体が見事なものだから、思わず、我を忘れて貪った。女?クスリで気持ちよくなってるじゃないか。一通りの快楽を与え、女を篭絡する術に長けているはずの彼らであるが、それすら忘れてただひたすら、夢中になって牝の身体を食い散らかす。

「ううぅぅぅ!! ・・・ぎゅうぅぅううん!!」

 実際、ケモノじみた声を魅琴は上げている。彼女の顔は真っ赤に、そして皺くちゃになって薬物から生じさせられている狂気じみた快感と三人の振動にあられもない姿を晒している。

「うぉぉー 出るぅー!」

「中に出しちまえ、へへえ!」

「オレもっ、オレも行くぜ!」

 三人揃って、仲良く絶頂へ達する瞬間。

「種は既に蒔かれている………」

 !!

 どうしたことだ? 魅琴の呟きと共に三人の動きは止まった。いや、止まらない。バタバタと魅琴から離れたが、がくがくと三人の腰は動きつづけている。その顔は恐怖すら浮かべつつ、驚きに声すらあがらない。

「・・・うっ・・・キモチワル・・・・・・悪酔いしてる」

 倒れこんだ魅琴は頭を押さえて、久しぶりに生気のある声を発した。それからぺっと、咥内の白濁した汚物を吐き出すと、彼女はぐっと伸びをする。

「混ぜ物してるでしょ? 経費節減かこんなのしか仕入れられないのかどっちか知らないけどさぁ。こんな粗悪品使ってると、そのうち目玉が飛び出るよ?」

 精液は、男たちの男性器の内側を、尿道を、射精管、前立腺、精管、精嚢、精巣へと逆流する。自然に非らざる流れは射精の痙攣と同時に激痛を伴う。それは、男性にとって「犯された」感覚に等しかった。ただ下腹部が膨れ上がる感覚にのたうち回る男どもを尻目に、魅琴は独白を続ける。

「一度だけ、正真正銘まじりっ気なしのメタンフェタミン、静脈でやったことがあるけどさ。あの時はさすがに飛びそうになったわ。それでも、もう一味足りなかったけどね」

 彼らの驚愕の視線を無視して、彼女は自分の服を見渡した。唯一傷をつけられなかったブレザーすら彼らに踏みつけられて無残な姿を晒していた。

「あーあ、制服台無しじゃない。 仕方ない、男の服は似合わないんだけどなぁ。」

 下着もつけず、ジーンズを履いてTシャツを着た。ズボンの余った部分を器用にくるくると巻き付ける。証拠になるので、自分の服もくるくると一まとめにする。しゃきしゃきと手際の良い行動だ。

「女の子を抱くならさぁ、下着の扱い方ぐらい覚えておきなよ。」

 切り刻まれたパンティーを片手に、主犯を一瞥してやる。先ほどまでよがり狂っていた雰囲気の欠片も見せてはいない。普段の、クールで冷淡で、そして常人を、否、異人をも超えた八重垣魅琴。

「なぁ・・・」

 何をした、と言いたいのだろうが、それだけしか息が続かない。勃起した性器は痛いほど赤く晴れ上がっている。それに触ることも、かといって立ち上がって魅琴を押し倒すことすら出来ないらしい。

「意識を別にしてたのよ。貴方達の必要だったのは、私の身体でしょ? ふふ、それぐらいの訓練積んでるから“術者”なんてやってられるのよん」

 魔に犯されたもの、それは老若男女を問わず、十中八九、欲望の虜となる。成らなかった者は逆に、十中八九、操られている。そうならない物は、よほど修練を積んでいるか、己と知らず魔の眷属である事がある。

魅琴は両方の流れを引く。彼女の体は大抵の薬物ならすぐに解毒してしまのだ。もちろん、快楽に流されずやり過ごす方法も身につけている。男の一番の欠点、射精の直前まで彼らを引っ張ったのだ。

 彼女が取った方法は、己の精神を肉体と分離させること。そして、冷静に機を見計らって、男性と接触している部分、即ち彼らの尿道へ“種”を流し込んだ。人間に対してはたいした力を持たない“種”だが、性エネルギーが充満しているなら話は別だ。性のエネルギーは魔術にも導くことができる。それは即ち、魅琴の術が通用するということである。もちろん、物質世界にはほんの少ししか影響力はもたないが、なに、別に弾丸を跳ね返すわけではない。三人ばかり狂わせるのに力は要らないのだ。

「封淫・・・男の人って、出すに出せないと苦しいみたいね。もっと気持ちよく成れるのに」

 にやり、冷徹な笑みを哀れな姿を晒す彼らに向ける。彼らの痛みは快感に代りつつあった。三つの男性器の尿道は黒い蔓に満ち、カウパー線と精管、精嚢と睾丸へと根を張っている。闇の植物はずっずと精液を吸い上げて更に大きくなる。今にもチンポと金玉が爆発しそうになりながら、それでも切ないばかりにやるせない、爆発できない生殺しの状態が湧き上がる。

「八重垣の名を汚した罪は重いよ。感じなさい、苦痛でしかない度を過ぎた快感を」

「うぉぉぉ!! してぇ! 出してぇ!!」

「ひひぃぃぃぃぃっ!! いいいっ!!!」

 魅琴の合図と同時に、男達は悶え始めた。蔓から媚薬成分が湧き上がり、それが彼らの身体に直接取り込まれる。感じるはずの無い部分に蔓がびくびくと脈動することで嘘のような愉悦が湧き上がる。しかし、イけないのだ、出せないのだ。射精という終わりが来ないのだ。

「ま、八重垣の名を忘れる程度には虐めさせてもらうけど………暫くすればイけるようになるから、頑張ってね」

 頑張ってね、と言ったのは無論、死の可能性を示唆している。そんな瀕死の快楽に叩き込まれつつ彼女の存在を忘れかけている彼らを知り目に、一応物品検査を行った。多分自分を映す予定だったろうカメラやビデオ、先ほどの車の鍵、どうでもいいカードと小銭しか入ってない財布。そして、不純物だらけだが白い粉末入りの小さなビニール袋が数個。

「服代、貰っていくよ。」

 叫びを上げる三人を後に、覚醒剤をポケットに押し込むと魅琴は工場を後にした。彼らの用意していたビデオは彼らの狂態をしっかりと捉えている。もちろん、サービス精神旺盛な彼女は、結界を張るなんて野暮な事はしない。工場関係者が彼らを見つけたところを想像すると、魅琴は少し楽しくなった。
 
 

 その夜、適当にタクシー拾って帰り着いた魅琴は、シャワーで身を清めた後ふて寝を決め込んでさっさと布団にもぐりこんでいた。掛けっぱなしのラジオが先の三人がお互いを犯しながら発見されたことを報じている。覚醒剤の袋が残されていたので、クスリの怖さをDJが揶揄している。

「男三人でヤリ狂ったか、まぁ、私にしちゃ甘かったかな」

 八重垣の名を知りながら、自らにも術者の一人も用意して居なかった彼らの負けである。第一、本当に魅琴が無防備になってるのなら、必ず誰か、もしくは人ではない何物かが漁夫の利を狙うだろう。そんな簡単な事に気がつかなかった彼らの不覚である。そしてこの業界、不覚はすぐに死に至る。

 魅琴は布団の中で、プリプリとした牝の器官に指を入れた。熱いジュースに塗れた指先が心地よい粘液に包まれる。その感職を楽しみながら、ゆっくりと、それでいて力強く、内壁を擦り上げる。

「あっあっ………あっ、やんっ!」

 魅琴とベットの間には、先ほど呼び出した、件の直美が挟まっていた。なるほど、良い娘だね。肌の柔らかさもアソコの締まりも、感度だって申し分ない。奴らには勿体無いわ。そんなことを思いながら、絶好の口直しになった少女を、魅琴はもっともっと、味わう事にした。


???