7 Tennessee州
州知事へのE-mail が州教育委員長 Vernon Caffeyさんに送られ、そのJanice Manさん
から次のような回答があった。
要旨 適法手続きを踏めば地方教委は無能教員を解雇することができます。 しかし、それ
   は極めて稀です。 というのは、無能教員であるということを証明することは、教委に
   とって余りにも重い負担になるからです。 必要なら lexislaw publishing のTitle 49,
   第 5章をみてください。
【コメント】 上述のとおり。 なお lexislaw publishing, Title 49 Chapter 5 をみたが、それ
       は教委の教員に関する規則の一般的なものであって、とくに真新しい内容は
       なかった。
8 Virginia州
 州教育長官 Wilbert Bryant さんから 「Gilmore知事が、あなたの研究を評価して返事を
 だすように」と指示された、として次のような回答があった。
要旨 わが州では、地方教委が教員を採用しますし、教員の授業ぶりなども観察、監督しま
   す。州当局は、教員を他の職に転職させた記録を持っていません。
   また統一された公式の授業の方法や教員勤務評定基準については、教育局のホー
   ムヘージを見てください。 
【 コメント 】 上述のとおり。 また www.pen.k12.va.us のなかの教員勤務評定と教員免許
       の箇所をみたが、例えば免許取得のさいの条件として、数学では 175点以上と
       列記されていたが、無能教員について、とくに真新しい内容はなかった。
9 Vermont州
 教職員・学校資質向上チーム部長 Doug Chiappettaさんから次のような回答があった。
要旨 @ Vermont州でも他の州と同様に、これは非常に難しい問題です。 われわれの州に
     は Tenureに関する政策はありません。 十分で正当な理由がなければ解雇するこ
     とは極めて困難です。教員免許規定の要件に欠ける場合や生徒を身体的、情緒的
     に害するような犯罪行為によって有罪とされた場合、職務上または職務外での反
     職業的行為、文書偽造、免許更新の申込の記載に重大な誤りがあった場合は
     [ 能力に欠ける ]として免許を失うことになります。そのさいは適法手続き: due
     processが認められます。
   A 無能力として解雇された教員は極めて少数です。 それ故に、われわれは免許を与
     える前の教育や条件を慎重に行っています。 テスト、レベル T、レベル U、大学
     での準備教育、生徒指導についての信頼技術などを重視しています。
     もし必要なら更に資料を送りましょう。
  それで資料を要請したところ、再び E-mailで [ Vermont Education Matter をクリックし、
  the School Quality Standard をみてください ]との示唆があった。 次はそのなかの
  finalsqs.htm から取った一部である。
要旨 @ これは 2000年 9月まで有効であるとして、生徒の学習到達度を計るためのVermont
     総合理解度システムに関すること。
     また各学校は、その結果を少なくとも年 1回、コミニティに報告すること。
   A 現職教育は データーにもとづき州全域に通じるようなものであること。しかもそれは
     学習を促進させるための具体的な手法や実際に役立つものであること。
   B 勤務評定もこれと同じような観点に拠って実施されるべきである。 そのために各学
     校は IPDPといわれる共通のプランに従って実施すること。
   C 教職 1年目と 2年目の勤務評定が重要である。その他の教員については 2年毎に
     評定する。
[コメント】 二度にわたる丁寧な回答に感謝している。
10 Wyoming州
 Linda Stowersさんから 「知事が無能教員について、あなたに返事をだすように」と命じ
たのでとして回答があった
。 しかしそれは非常に簡単なもので [ Whoming州では州の全般
に通じるような無能教員についての基準はありません ]、[ 教員の任用、停職、解雇は地方
教委の問題です。 できれば www.k12.wy.us.をみてください ] とあった。
そこで、それを検索し Article 1, Teacher contracts を調べたが参考になると思われる事項
を下記する。
 @ 正式採用教員とは 同一教委内に 3年間 続けて勤務し、4年目に更新された者。 ある教
   委内で 1年間勤め、その後、引き続いて他の教委内で 2年間 勤務した者を含む。
 A 解雇 :Dismissal とは、学年度の途中で理由を付して雇用契約を取り消すこと。
   解職 : Terminationとは、雇用契約の満了時に契約を打ち切ること。
 B 有給の停職 :Suspension with payと 無給の停職 :Suspension without pay とがある。
 C 教委は無能力、義務の怠り、不道徳、不満足な職務 その他正当な事由がある場合は、
   停職、解雇、解職することができる。
 D 学校教育制度内での転任 [転職]は、同等の地位または 昇給を伴うものは認められる。
【コメント】 上述のとおりであるが、同等のポストや昇給を伴う転任・転職が明記されている
       点が特徴的である

11 Uta州
州知事部局・予算計画担当官で政策アナリストのRace Daviesさんから次のような回答があった。
要旨 Uta州は合衆国の西に位地する山に囲まれた内陸地です。 面積 約 12.000エーカー、
   その 75% は荒れ地、山、森で全体の 10%は州の所有地で、65%は合衆国の所有地です。
   人口 約 210万人、その 80%は平地、都市部 ことにWasatch山脈の西側 [ Salt Lakes市
   周辺 ]に住んでいます。

   生徒数 49万人、 40教育区 [教委]が教員を採用し、正式採用教員が解雇されることは極
   めて稀です。最近では、学校の資金の不正使用、学校のコンピーターを使ってインターネッ
   トで不適当なものを見たり、生徒との不道徳な性的交渉のよるものでした。
【コメント】 上述の通りであるが、州全体のことが述べられているのは、やや牧歌的でおもしろい
12 Washington州
広報担当官のJerome Lindleyさんから簡単な回答があった。すなわち、「 http://www.k12.wa.us/
assessmentと、そのなかのreform をみてください 」と書かれていた。
【コメント】 それには 例えば 1999 - 2000の間の 3年生から 6年生までの州レベルのテスト
       のことが詳しく書かれているが、無能教員に関するものは見あたらなかった。
13 Texas州
 この11月末現在、なお次期大統領が確定しないが、先日 George W. Bush知事から 「Texas
教育局が州の公教育について管轄しているので、あなたの質問のコピーを 長官のDr. Nolan
Woodに送った」として、そのアドレスが書かれた手紙が郵送されてきた。

【追記】 2000年 12月、そのNolan Woodさんから手紙とともに Teacher Mannual,Professional
  Development and Appraisal System,Texas Education Agency が自宅に郵送されてきた。
  そのなかで、我々にとって有益であると思われるものを下記する。
 @ 評価フレームワーク
   ・ 生徒の学習の具体的な取り組みはどうか。  ・ 問題解決・創造的思考などの生徒の取り組みは。
   ・ 生徒が問題意識をもって進んでいるか。    ・ 生徒が自らを律し他と協調しながら学習しているか。
  などの項目ごとに、これを 優秀・ 普通より やや上・ 普通より やや下 ・ 不満足 とチェックさせる方法を
  明示している。

 A 教員自身の自己評価表 : Teacher Self-Report Form
  客観的な視点で自己評価させて、最後に 合計で、( 20 - 25  優秀 )、( 12 - 19  普通より やや 上 )、
  ( 4 - 11  普通より やや劣る )、 ( 0 - 3  不満足 )と点数化させる。

 B 評定者のScoring Tools
  その教員の知識、生徒への動機づけの手法、生徒・親・地域とのコミュニケーションの仕方、地教委
  の規則や通知の認識の程度、 このマニュアルの認識の程度 など 100以上の着眼点を明示して、その
  一つ一つに ( 90%-100%  優秀 ) ( 80% - 89%  やや上 ) ( 50% - 79%  やや下 )  ( 0 - 49%
  不満足 )と評価させている。

 C 再教育プラン : Intervention Plan for Teacher Need of Assistance
  この書面も参考になる。しかも、その書面の最後に [ この私の署名は、このプランに同意する
  か同意しないかを示すものではありません ]とした上で教員に署名をさせている点がおもしろい。
【コメント】 上述のとおりである。ほぼ次期大統領にきまったBush州知事からの丁寧な取り扱いに感謝
       している。
14 その他
○ Delaware州.... William Barkleyさんから 「 州全般に通じる勤務評定制度を採用しているが、不満足
            として転職させた事例はありません 」との回答があった。
○ Kentucky州 .... virus侵入の虞があるから、あなたの質問を開くことができない、とKYWebmister
             から返信があった。こんな例もあったとして述べておこう。
○ Michigan州 .... Internet Service Unitから州教委のアドレスを返信してきただけ。こんな例もあった。
追加 1 Illinois州
 本年 (2000年) 12月、Illinois州現職教育・免許担当 教育次長 Frank J. Llanoさんから [ Ryan知事
が回答するように ]と指示されたたのでとして次のような回答が自宅に郵送されてきた。


要旨 @ わが州では、地方教委の管理職が少なくとも年 2回、教員の勤務評定を行います。
     また、学校の管理職は 2年ごとに勤務評定者としてのトレーニングを受けなければなりま
     せん。
    A 各地方教委は 教員と協力して、勤務評定のプランをより良いものにし、その承認を州教
     委から得ることが義務づけられています。
     そのプランには、授業観察、教員の出勤状況、計画づくり、学習指導方法、学級管理、
     教科の能力、実際の授業ぶりのランク、本人の特技の能力の程度、の項目があり、それ
     ぞれの評定と講評がつけられることになっています。
     また、今までの評定の経歴と本人の履歴事項が入っています。
   B 評定の結果 [ 能力不十分 ]とされた場合は 90日間の授業観察の矯正プランが始めら
     れます。また、彼[彼女]を助けるために顧問教員がつけられます。 そして 30日ごとに
     評定されます。矯正期間の終わりの 10日間で教委は 再評定し、なお[ 不十分 ]であれ
     ば、解雇されることになるでしょう。
【コメント】 勤務評定の仕組みや [不満足]とされるまでの過程については、ほぼ理解していた
       が、それを確認することができた。 郵便による回答にも感謝している。
追加 2 Louisiana州
 2001年 1月末、Lousiana州教育局の教員免許・高等教育部長のMary S.McCoy さんから次
のような回答が自宅に郵送されてきた。


要旨 @ 教員免許を取得するには、所定の単位を修得し、半年、教育実習し 厳格な国家試験
     にパスしなければなりません。
    A 新任教員は 州の教員助力者のもとにおかれ評価を受けることになります。 その他に
     地方教委も少なくとも毎年 一回 評定を行います。 そのようにして 3年間 良好であれ
     ば正式採用となります。それは 終身免許を得たことになりますが、しかし何らかの理
     由で教職から 5年以上 離れていると新たに免許更新のコースを受けなければなりま
     せん。
     正式採用教員は、裁判所に訴えを起こされるような理由がなければ解雇されません。

   B 教員は自分の意志で、同じ学校や同じ教委内の他の仕事に変わることができます。
   C 例外的に 臨時免許状の教員にクラスを担当させることがありますが、しかし彼らには
     正式免許を取ることが求められます。 それに失敗すれば教壇に立つことはできません。

【 コメント 】正式採用教員でも、何らかの理由で教職から 5年以上 離れていると、再び免許更
      新のコースを受けなければならないことは参考になろう。わが国ではそうではない。
      丁寧な回答にも感謝している。