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サマータイム制に反対しよう

 サマータイム制度というのを御存じだろうか。数年前から政府の一部で
この制度を導入しようという動きが活発化しているが、これこそただでさえ
あらゆる分野で制度疲労を起こし屋台骨がガタガタになっている日本の国を
もっと根本的にダメにしてしまう大変な愚策である。

サマータイム制なんて聞いたことがないという人のために少し解説すると、
夏を含む半年間だけ全国一斉に時計の針を1時間早める制度である。
つまり春を過ぎたら例えばそれまでの8時は9時となり、秋になったら逆に
8時は7時になるのである。なんだか頭が混乱してくるが簡単に言えば
サマータイムの期間は1時間早く会社に出勤し、1時間早く退社すると
いうことである。

 なぜそんなことをするのかというと省エネルギーのためである。現代の
先進国においては夏が最も電気の消費量が増える。言うまでもなく会社や
家庭における冷房のためである。そこでまだ気温が上がらない朝早くから
仕事を始めることで空調の電力を節減し、まだ外が明るいうちに仕事を
終えることで照明の電力を節減しようというわけである。

 これだけ聞くと実に結構な話に思える。しかしよく考えて頂きたい。
終戦直後のように一家に柱時計が1台しかなかった時代ならいざ知らず、
現代では家庭だけでも目覚まし時計や腕時計、車の時計やビデオのタイマー、
携帯電話にパソコンなどなどいちいち数え切れないほどの時計が使われ
ている。これを毎年2回づつ1時間ずらすなんてまったくナンセンスと
思わないだろうか。

 また、現代の社会システムは途方もなく複雑になっている。製造業でも
物流でも今や分単位のスケジュール管理で動いている。そして社会の
あらゆる分野にコンピューターネットワークが浸透しているがそのネット
ワークを作っているコンピューター1台1台に時計が内蔵されているので
ある。少し考えれば分かるように社会のほんの一部の部門をいじっただけ
でもその影響はとんでもなく広い範囲におよぶのだ。

 だいたい時刻とか暦といったものは社会システムを根底で支える最も
基本的な制度のひとつである。それを安易にいじれば国民生活にどんな
影響が出るか全く予測できないのである。しかもそれだけの代償を払って
も肝心のエネルギー節減効果で期待出来るのなら検討の余地があるが
実際はスズメの涙ほどである。

 また、サマータイムを導入すると余暇が増えるかのように宣伝される
ことがある。テレビのインタビューで若い人なんかが「自分の自由時間が
増えるならサマータイムに賛成だ。」と答えているのを見たことがあるが
これは全く初歩的な誤解である。実際にはサマータイムになっても生活の
時間帯が1時間ずれるだけであり、労働時間の短縮が進まない限り余暇は
1分たりとも増えないのである。

 このように国民生活に無用な複雑さを付け加えるだけのサマータイム制
導入の動きは断固粉砕しなければならない。

執筆 2000/8/15

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