炎と氷のアンサンブル




 お互いの存在が伝わりあう。

 怒張したこわばりに唾液が絡み付く。貪り合う二人。

 もう二度と放さない。お互いがお互いをそう思っていた。

 性格も好みも、そして能力すら異質の二人だから、却って惹かれ合う。
 傷つき疲れた二人だからこそ、同じように馴染んでいく。

 バーンの力強い指先が、キースの繊細な掌が、
 相手の最も敏感な部分を自分の最も大切なものとして愛しみ、愛でる。

 身体が密着し、打ち震える。

 堅く、力強い身体が、その弾力ある胸が、相手の腹に当る。

 汗が噴き出て来る。二人の息は荒い。
 相手の快感を高めようとしつつも、己はそれに耐える。

 男の性は死に近い。
 一瞬の高みの後、空ろさが残る。

 それでも求め合う。
 生きている実感を長引かせるために。
 お互いの存在を、真に確認する為に。

 お互いに総べてを許し、
 無防備な自分を曝け出すために。

 バーンは体勢を変えた。
 キースの、潤んだ瞳を見つめる。

 先程までのように、今度は舌が絡む。

 隆起した筋肉がキースのまだ少年のようにしなやかな肌に優しく押し付けられる。

 「バぁン・・・」

 甘い声でキースが呼んだ。

 狙いを定めて、炎が打ち込まれる。凍えた心にそれは沁みた。

 バーンを、自分の深い所に感じる。そしてバーンも、キースの最奥を感じていた。

 キースの涙が零れ落ちる。それは切なさなのだろうか、悲しさなのだろうか。
 同性であることの喜びと、同性であるが故の歓び。

 それでも埋め尽くせないものが在るのかもしれない。
 しかし、それでも良いのだ。今は愛されている、愛している。
 最も大切な人と共に在る。

 憎しみもいがみも、もう、どうでも良かった。こうして居られるのなら。

 「キィス・・・」

 身体を貫かれ、苦渋に満ちた表情のキース
 身体を包含され、苦悩を浮かべるバーン。

 灼熱と極寒が交じり合う。

 絡み合った二人の身体は、波のように揺れ続ける。
 うねりが激しくなっていく。

 二人は永遠を貪り続けるだろう。
 終焉を迎えるまで、

 ずっと。


特異効能的理力・影