番外編・裏〜
暴走した能力!とうとうエミリオが・・・〜
「うー」エミリオ=ミハイロフ、十六歳。
今朝はいつもに輪をかけた低血圧で起き出すのが億劫でしかたがない。 さっきからずっと、起きてはいるのだが布団の中でまどろんでいるのだ。 そろそろ起きて用意をしなければ学校に遅れてしまう、それは判っているのだが・・・
とりあえず、寝返りを打ってみる。ふにゅ。
布団と自分の間に、何かが挟まった感触があった。 枕かクッションだかだと思ったが、柔らかすぎる。 体重をかけて確認してみる。むしろ、痛い。
がばっ、起きた勢いでそれは大きく震えた。 引き千切られるような痛みにエミリオは驚く。
「・・・何だよ・・・これ。」
自問自答、しかし答えは判っている、乳房だ。 パジャマのシャツの前がはだけてるので上から見ても直ぐ分かる。 弾力のある大きな膨らみ。当然ながら、ご丁寧に乳首まで付いている。
エミリオも普段はクールではあるが、れっきとした男の子である。 「見たい、揉みたい、吸い付きたい」の欲求が最も顕著になる年頃だ。 が、それが自分に付いてるとなると話は別である。
手を恐る恐る、下に下にと這わせてみる。柔らかな皮膚を滑り降り、 ズボンを通り過ぎて、パンツのゴムの下をもどかしげに滑り込む。 ふわふわした部分を通り過ぎて、触り慣れない、粘膜の感触があった。
「・・・・・・・」
「はっはっはっは!お答えしましょう。それは能力の暴走です!」
頭が全部、ソコと指の感覚に行きかけてたエミリオは 胸を隠す事も忘れて(気がつく訳が無い)ただ天地がひっくり返ったが如く焦った。 “W”だ。
「ごく希ですが、制御不能になった能力により、 性別が転換してしまう事があります。 ・・・ああ、ご安心下さい、私は女体には全く興味はありませんから。」
恐い事を言うな、エミリオはマジで身の危険を感じた。 ちなみにこの回は番外も良い所、読者サービス版である。 本編とは全く関係無いのでその点はご理解願いたい。
「まぁ、暫く様子を見る事です。ほとんどは一時的な事ですから。 まぁ、私としては一刻も早く元の身体に戻って頂きたいですね。 『一日千秋』の思いです。」
待つな、エミリオは冷ややかに突っ込むが、例によって 言いたい事を言ってしまうと“W”は消滅した。 これも毎度事なので、エミリオは特に何も言わなかった。
「な、なんじゃこりゃーぁ!!!!!」
その代わり、部屋の入り口側から、素っ頓狂な声が響いた。 ガデスがひっくり返らんばかりに驚いている。
ちなみに、パジャマ姿の少女の姿は、非常にコケティッシュである。「見るなぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
エミリオは渾身のぱんちを放つ。が、ガデスはひょいと避ける。
「がっはっは、気にするな。俺はガキにゃぁ興味ないからな。」
遊び人ガデス、エミリオはガデスの言葉の裏に潜む真意を読み取り、 自分の親ながら何ともいえない複雑な気持ちになった。
「何でもいいが、早く飯にしな。遅刻するぜ」
「うー」
階段を降りて行くガデス、入れ替わりにようやくせつなが目を覚ました。
「・・・?」
せつなは暫く沈黙していた、寝ぼけた頭では何事が起こったか判らないのだ。 違う場所で目覚めてしまったようなそんな表情。 しかし、自分の相手がエミリオという事をようやく判断できてほっとしたようだ。 それ以上、何か言える雰囲気ではなかったが。いやむしろ、 せつなの幼い頭ではかける言葉が無かったと言うのが正しいかもしれない。 取り合えずポーズを決めている。
それでもいつものように朝飯を食い。学校への準備をする。 便所で暫く手間取ったが、それでも何とかコトを済ませてはたと気がついた。 着る服が無い。
一応、いつものシャツを着てみるが、胸が邪魔でボタンが留められない。 結構でかい。エミリオ自身、ちょっとドキドキである。余り見ないようにしている。 いや、触るのも少々躊躇される。いざ目の前に物があるとシャイな彼にはどうする事も出来ない。 まぁ、自分の物と言う事もあるが。
仕方が無いのでノースリーブのシャツを来て行く。 ノーブラなので乳房が際立つ。野郎の家なので、ブラがある訳が無い、有ったら有ったで恐いが。
「・・・胸の分、羽根小さくなったよな・・・」
「栄養として取られたんだろ。」
ガデスにさわやかな朝の会話は無理であった。
「・・・よーく考えたら、ムリして学校に行く事無いんじゃないか?」
自分の身の上に起こった事を考えると、それも然りと思った。 が、羽根が生えても学校に行った自分だ、今更何を・・・と 変な対抗意識が芽生えてしまい、結局登校する事にした。
せつなは例によって、明後日の方向へポーズを取っている。 が、心なしか、自分の胸を見ている気もする。
「触ると殺すからな。」
せつなにはとりあえず、念を押しておいた。