ブリ・えみ第四話〜
限りなく翻弄される理性に・・・〜
硬直するエミリオ、身体を堅くしているつもりでも相手のマシュマロのような 触感は伝わってくる。むしろ、彼が堅くなればなるほどその柔らかさは際立ったものとして感じられた。「あのね・・・私・・・」
漸く、エミリオにも感づいた。そうだいつもと一人称が違うじゃないか。 コイツ、マイトじゃねーや。あ、そうなんだ、道理でなぁ。 あーならオッケーだよ、うん。
だからと言って事態が変わるわけではない。 エミリオ自身、どうも思考か混乱している。と言うよりある種の現実逃避であるわけだが。 このまま落ちてしまいたくなるほど甘美な感触に意識の方が限界に来ている。 彼はこう見えても、かなりウブなのだ。
「ずっと・・・アナタとこうなりたかった・・・」
どうなるのだろう・・・どうなってしまうのだろう・・・ ジンと痺れてしまった彼の頭で考えられるのは、既にこの程度。 不安が期待と入り交じっているふしぎな感覚。
恥じらいで顔を赤くしながら、それでも積極的に体を押し付けてくるマイト。 ドギマギするエミリオであるが、マイトは愛らしく愛しさを感じさせる。
「私・・・どうなってもいい・・・」
マイトが上目でじっと、潤んだ瞳をエミリオに投げかける。
−そうか、“どうなってもいい”と言うのはこういう感じなんだ−
自分の方が人生投げてどうする、と突っ込みたくなるエミリオ君であるが、 とうとう、覚悟を決めた。と言うより流されてしまったようだ。 全てを投げ出してみる覚悟が出来た。エミリオがマイトを抱き寄せようとしたその時、
「わっはっはっは! いつまでそうしているつもりだ!」
せつなだ・・・漸く“現実”に引き戻されたエミリオ。 今更ながら、今の状況がかなり“ヤバイ”シチュエーションである事に気が付いた。 なんせ、自分が好きなのは、、、そう、コイツではない。慌ててマイトを引き離す。
「わっ、わるいな。もう授業も始まってるしさ、あははははは。」
口は少々正直で、後ろ髪を引かれる思いが吃りになって出てしまう。 が、それを振り払うかのように、普段なら授業などどうでも良い癖に、 慌てて駆出すエミリオ・ミハイロフ。 こういう時だけは真面目な自分がひょっこり顔を出す。
「エミリオ・・・」
エミリオはせつなを引っつかんでダッシュしていった。 残されたマイトはただ、想い人の名を呟くだけであった。
タッタッタッタッタ、ガラガラガラ。
既に授業が始まりかけていたが、 カルロはないすばでぃと化したエミリオを見て、硬直する。
「エミリオ君・・・」
「ヨダレ出てるぞ。」
冷静なエミリオの突っ込みに、カルロは慌てて口をぬぐった。 彼のきちんとした服の袖はその一拭きでテカついてしまった。