【X−CON2式シャトル・ミッションの流れ】

 前頁で、大体の雰囲気は解っていただけたでしょうか?
 では、実際のミッションの流れはどうなっているのか、以下に順次解説しましょう。

●スペースキャンプ「アカデミー・コース」開始セレモニー
 オープニング・ビデオの上映と、チームリーダーの紹介があります。ビデオは結構雰囲気出ています。この時配られる「アストロノーツ・ログ」(白地にスペースキャンプのエンブレムをプリントしたバインダー)とキャップは、永久保存したくなるほど出来がよいです。

●1回目のミッション

  1. 班分け(=役職の割り振り)
     X−CON2の参加定員は40名です(60名の時も有りました)。今回は35名の参加がありました。この参加者は、あらかじめ2チームに分けてありますが、さらにその中を、チーム内の話し合いで2つの班に分けます。班分けに当たっては、参加者の希望に添って配役を決めて行きます。地上側の時と宇宙側の時の配役を決め終わると、自動的に2つの班ができあがります。
     同じチームに属する2班は、ミッション・コントロール(地上管制室側)とオービター及び軌道上のMS(宇宙側)のポジションを相互に入れ換えてミッションをこなすことになります。言い替えると、一人の参加者は、地上管制側と宇宙側の立場をそれぞれ一回づつ体験できるのです。

  2. オービター等の名称の決定
     班分けが終わると、班毎にその班の乗るオービターやミッションコントロール等の名称を決めます。オービターの名前は、そのまま班の名称になります。この名前によって本番のノリの幾分かが左右されるだけに、ミーティングの最も盛り上がる部分です。

  3. 台本読み合わせ
     変更した名称を使用して、台詞の読み合わせを行います。台詞を読み込んで行くに連れ、だんだんその気になって行くから不思議です

  4. 設備操作演習
     実際の設備を使って、予行演習を行います。ミッションコントロール・ルーム、オービター、EVA、それぞれを演習できます。スイッチ操作の多い担当者は、ここでよ〜〜く確認して置かないと、後で大変な事故の元になるかも?! ……という大事な演習です。

  5. 机上演習(第二回台本読み合わせ)
     本番直前の読み合わせです。これも地上側と宇宙側に別れて行います。台詞等の変更部分を練習するなら、これが最後のチャンスになります。
     MS担当者は台詞がほとんど無いので、地上側とオービター担当者が読み合わせを行っている間に、軌道上での作業手順や手信号等の段取りを決めて置くと、本番でスムーズに作業が出来ます。

  6. シャトルミッション
     いよいよ本番! いやが上にも盛り上がる待った無しの大本番!!
     ……を、流れに添って見てみましょう

    1. 打ち上げシークェンス
        何と言っても、華々しい事では一番の打ち上げ。
        この時、メンバー各位は下記に配置されます。
          地上管制担当者 ミッション・コントロール・ルーム
          コマンダー&パイロット オービターの操縦室
          MS1〜4 オービターのミッドデッキ
          MS5〜8 スペースラボ(JEM)
       この様な体制でオービターは地上管制と交信し、その支援を受けつつ宇宙目指して飛び立つのです。管制室正面のメイン画面に映し出される打ち上げシーンは、何度見ても良いものですよ☆

    2. EVA・1/軌道実験
      ・オービターが軌道上に上がると、MS1〜4は船外に出てハッブルスペーステレスコープの修理を行います。意外と手順が細かいので、設備操作演習の時きちんと確認して置くのが吉です。
      ・MS1〜4が来るのを待つ間、ラボではMS5〜8が無重力下での実験を行っています。おっきなドラム缶に詰め込まれて実験ごっこをすると思えば、間違いないでしょう。
       実験は、地上管制側と交信しつつ進められます。交信時に無駄口を叩くのもまた、楽しからずや、です。
       実験中に、宇宙宅急便が宇宙服を届けてくれたり、宇宙観光団が通過して行ったりしますが、あまり気にしてはいけません

    3. ドッキング
       MS1〜4によるEVA(船外活動)が終わると、オービターはフリーダムへドッキングを行います。ドッキングが完了すると、MS1〜4はラボに移乗し、MS5〜8が宇宙空間へと出て行きます。

    4. EVA・2/フリーダムの補修演習
       MS5〜8が、テトラヘドロンを組み立てます。この間、地上管制と操縦室は暇になります。(今回のミッションで某班は、この暇に退屈した操縦室からのリクエストに答えて「宇宙戦艦ヤマト」の「真っ赤なスカーフ」を赤ぺらで熱唱したとかしないとか……)
       この組立作業は、EVAの華とも言うべき物で、規定時刻に間に合わないと宇宙空間に島流しにあうという、緊迫間あふれる作業です。毎回、最低1班は宇宙の藻屑に消えているとかいないとか……。
       作業は、無線で交信しつつ行う建て前ですが、無線はあまり当てになりません。あらかじめ作業手順を確認し、いざという時のための手信号を決めて置くなど、綿密なミーティングとチームワーク(と体力(と体格))が物を言います。

    5. 帰還シークェンスと着陸
       MS1〜4をラボに降ろし、作業を終えたMS5〜8を(彼らが間に合えば)収容したオービターは、帰還軌道に乗ります。地上の支援を受けつつ、機体を操り、大気圏突入を敢行するのです。
       大気圏に突入すると、ブラックアウトが生じ、オービターとの通信は一時途絶えます。
       再び交信可能になった時、オービターは既に飛行機と同じ原理で飛んでいます。降下速度を落とすためのS字ターン。そして、滑走路への進入コースにのる為の操縦。全ミッション中、もっとも緊張するシチュエーションです。
       こんな時、万が一にもトラブルや手順の間違いがあり、適切な対応が出来ないと……ドッカーーーン!! ……機体は爆散してしまうかも知れません。
       乗客であるMSはただ、身を預けるのみ。全責任を背負う操縦室の二人にかかるプレッシャーは、経験した者にしかわからないでしょう。それだけに、「落とした」経験者の悔しがり様と来たら……。
       逆に、無事に着陸できた時は、そりゃぁ嬉しいもんです(^_^) ミッション・コントロールでは、隣同士の管制官が握手をかわしたり、帽子を投げたり、大騒ぎします。

    時間の遅れがあると、「ホールド」と言って、時間進行が一端停止します。また、致命的なミスがあった場合は、状況に応じて機体は爆散及びそれに準ずる状態となり、ミスの発生する直前の状況からやりなおしになります。ノー・ホールド、爆散もなし、で地上に降ろすには、管制室と操縦室全員のチームワークと高度な集中力が要求されます。


●2回目のミッション
地上側と宇宙側の班を入れ換えて、もう一度ミッションを行います。
手順そのものは前回と全く同じですが、班の決定に応じ各呼称を変更します。


●グラデエーション
無事(じゃなくても(笑))、全ミッションを果たし終えたあと、最終日に待っているのが、卒業式です。晴れてスペース・キャンプのアカデミー・コースを修了した証として、修了証と記念品、ウィング・バッチを授与されるのです。


【ミッションのお楽しみ♪】

 前頁で紹介した打ち上げ風景では、本来の台本にはない、いくつかの遊びが入っています。アカデミー・コースの打ち上げミッションは、そのままで楽しんでもそりゃぁ面白いものですが、趣味と好みの味付けをする事で2倍も3倍も楽しめるのです。
 味付け通りにミッションをこなすにはそれなりの集中力も必要ですが、間違ったときは御愛敬。思い切ってアドリブを入れて積極的に楽しむのが吉です。
 それでは、以下に「お楽しみ」の例を上げてみましょう。


★名称変更
 本来の台本では、地名等の名称は以下のようになっています。

    スペースシャトルの発射基地 ケネディ宇宙港
    スペースシャトルの着陸基地 エドワーズ空軍基地
    ミッション・コントロール ミッション・コントロール
    軌道上のステーション フリーダム
    オービター オービター
    テラスコープ(望遠鏡の類?) テラスコープ
    テトラヘドロン(何かの骨格) テトラヘドロン

 これを、チーム毎に名称を変更して遊ぶわけです(すでにご紹介済みですね)。

★キャスティング(コードネーム)
 変えて楽しいのは、対物名称だけではありません。覚え切れるなら、対人名称も変えて楽しめます。軌道上の作業中にコードネームで呼び合うと、そりゃぁ盛り上がるもんです。
 以下に変更例を上げます(MSはミッションスペシャリストの略です)。もちろん、盛り上がるネタなら何だってOKです。基本的にMSは3人1組+1人(MS1&5は無線指揮官)なので、楽しいネタは色々あると思います。

    例1 例2 例3
    MS5 ギレン ドクロベェ
    MS6 ガイア ドロンジョ様 ドラグーン
    MS7 マッシュ トンズラー ジーク
    MS8 オルテガ ボヤッキー バーニア


★台詞の変更
 台詞の細部(または大部分)にアドリブを入れるのも楽しいものです。狙ったアドリブで受けを取れた瞬間と言うのは、快感そのもの☆
 以下に変更例を上げます。

【口調・口癖で遊ぶ】
今回「オネアミス」チームで初参加だった某嬢は、FDに志願して「星界の紋章」のヒロイン、ラフィールの「〜するがよい」口調で全ての台詞を読み上げ、大受けを取りました。(私もその場にいたかった!)
 本人から聞いたのですが、キャスティング選択のポイントは「女性キャラである事」「台詞だけで誰だかわかる事」「最近のネタである事」だったそうです。
【担当名で遊ぶ】
同じく今回「オネアミス」チームでPAOを担当した某氏は、大変コアなネタで攻めました。映画「王立宇宙軍〜オネアミスの翼〜」では、しばしばニュース解説が流れるのですが、その声優はなんとあの「徳光」さん。
 そこで彼は、台詞の冒頭に必ず入る「こちらPAOです」を全て「こちら徳光です」と置き換えたのです。そのうち、台詞が少ない配役の人が相手役を買ってでてアドリブ対談までやったそうです。(これも聞いてみたかったなぁ!)
【用語で遊ぶ】
特定の言い回しや用語を使うという方法もあります。
 例えば時間を読むのに、「12:00」を「じゅうにじ」とよまずに「ひとふたまるまる」と読む、ボタンを押す時、いちいち「ポチっとな」と言う、英語の用語を日本語に置き換えて言う、等々です。


★タイムアタック!!
 これは、少し特殊な楽しみです。軌道上の作業を想定してMS6〜8が行うテトラヘドロンの組立は、毎回タイムを計っています。これまでの最短記録はX−CON2−6の時のある班が弾き出した6分でした。このタイムを更新するのは容易な事ではない、と言われています。
 なお、組立が所定の時間に間に合わないと、組立三人組は宇宙空間に取り残されてしまうので要注意!! 

 以上、かいつまんでX−CONの「お楽しみ♪」の部分を解説しましたが、いかがでしたか? もし、「自分も混ざりたい!!」と思ったら、このサイトオーナー=ZACまでメールしてください。楽しい世界が広がる事、受け合いです


★★★★★★★★★★★★★★ おまけ解説 ★★★★★★★★★★★★★★★★

【ミッション体験後のお楽しみ(^_^)】

 スペースワールドの象徴、そびえ立つスペースシャトルでは、毎日特定時刻(今回は13:00と15:00でした)になると、打ち上げイベントをやっています。これは、打ち上げ時の管制官の台詞読み上げに合わせ、シャトルのノズルからスモークと光と強風が吹き出すというものです。
 これ、ぱっと見は大したイベントじゃなさそうに聞こえるでしょ? ところが、実際にミッションを体験した後だと、話が違います。ノズルの間近で突風に煽られながら聞く英語の台詞のカッコいいこと!! 何を言っているか大体わかっちゃうのも嬉しいし、今、管制室やオービターの状況がどうなっているのか、目に浮かぶんですよ(^_^)v これは結構、たまらんものがあります。

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