杉田への質問と回答
U 校内暴力に関するものなど 

 杉田荘治
T 体罰に関するもの
1. 校内暴力について S県 中学一年学級委員とその父親から ...平成11年(1999年)5月
 Q. はじめまして、僕は中学一年生です。 現在、校内暴力でくるしめられています。 そのため、
   ホームページを開いたら、杉田様のホームページを見つけまのたので、拝読させていただ
   きました。良い案があれば教えていただきたいと思います。

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   杉田様へ、息子の不躾なメールで失礼します。..... 息子の訴える通り、以前より、数名の
  集団による校内暴力 ( 器物破損、 対教師間暴力、 対生徒間暴力 ) によって授業が中断
  することは日常的で教師 1名および生徒 10数名の怪我人が出ており、加害者の保護者に
  対して 学校から、再三の注意をしても一向に改善の兆しが見えません。
   ガラス代や治療費を請求しても全く応じません。 先生方も、[ やられ放題 ]の状態です。
  さらに、これらの集団を管理するために先生方の労力がほとんど注ぎ込まれてしまい、肝
  心の授業がまったく進みません。 加害者の生徒は [14歳以下は何をしても罰せられないか
  ら大丈夫]と嘯いている始末です。

   昨日、全学年のPTAが対策集会を持ちましたが学校教育法のため何をやっても [体罰]に
  該当してしまい決め手が見出せません。 ..........現在も暴力は止まらず、いつ自分の子供が
  被害に遭うかと考えて不安が拭えません。
  中、長期的には、[あいさつ運動] とか [花植え運動]を通じて歯止めをかけていきたいと思
  うのですが速効性がありません。 ..... アドバイスをお願いいたします。 〔39歳、会社員〕


      杉田からの返事

 A. 難しい問題です。もしそれが事実とすれば、何故今まで有効な対策がとられなかったのか
   残念に思います。 また違法とされる体罰と懲戒とは違います。
   また参考までにアメリカの規則を下記します。 
○ Pennsylvania州教委規則
 4. しかし次の場合は、たとえ親やある教委が反対していても、力を行使するこ ができる。
   すなわち、
     騒ぎを静める場合
     武器や危険な物をもっている場合
     自己防衛の場合
     他人や器物を守る場合
○ 4.Virginia州規程のなかの体罰関係規定 1995年
 22.1-279.1
  一般的には体罰禁止である。しかし、次の場合は認められる。すなわち、
   秩序を維持するための正当な理由があって、ちょっとした体罰を行う場合。
   他人や器物を傷つけようとしている生徒を排除したり、その混乱を静めるための正当な
   理由がある場合。
   自分などへの、正当防衛の場合。
   武器や危険物、ヘロイン袋などの制御物質を持ち歩くことを抑える場合。
 また二律相反する難しいことですが、また今となっては手後れなのかもしれませんが、どんな
生徒にも良い点があります。 気力で接し彼らに愛情を注ぐ関係者はいないのでしょうか。
ご健勝を祈ります。


【参考】 過度な競争社会からくる社会全体のストレス、生徒自身のストレス、教育環境の悪化
    をいかにして最小限度にしていくか、という課題は至難なことであるが、学校がたんに
    教訓的、督励的な場だけではなく、弱者にも常に愛情が注がれているという平素の雰
    囲気づくりが大切である。これは二律相反する難かしいことではあるが、考えてみれば
    我々は、父母の[厳しさと優しさ]、祖父母の教えと愛情、社会の躾と見守りなどの中で
    育ち、また育ててきたはずである。 学校という環境下で教職員に求められる原理もこ
    れと同じであろう。

  追記 平成19年5月
     文部科学省は平成19年2月、次のような通知された。 これを確実に実施することが校内
    暴力の対策として有効である。 また最近、懸念されてきている“いじめ”対策としても重要で
    あると考える。さらにいえばこの『通知』の本文には規定されず、その『別紙』としての形をとら
    れたのは主旨からみて少し迫力に欠けるように思われる。 本文に規定されたほうがよい。

        問題行動を起こす児童生徒に対する指導について(通知)
            18 文科初1019号 平成19年2月5日

     
別紙 学校教育法第11条に規定する児童生徒の懲戒・体罰に関する考え方
       2 児童生徒を教室外に退去させる等の措置について

       (3) また児童生徒が学習を怠り、喧騒その他の行為により他の児童生徒の学習を妨げ
         るような場合には、他の児童生徒の学習上の妨害を排除し、教室内の秩序を維持
         するため、必要な間、やむを得ず教室外に退去させることは懲戒に当たらず、教育
         上必要な措置として差支えない。

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2. 顧問教師について...... P県立高校生徒から    平成11年(1999年)7月
Q.  練習時間が長すぎる件など。 彼女は音楽部の顧問をしています。そして今までにない部
  活動成績を作り上げました。 しかし、その晴れやかな表舞台とは裏腹にとてもひどい、教師
  はおろか人間とは思えないことをしているのです。 私達の高校は、全国でも通用する数少な
  い公立進学校の一つです。
  A君は練習時間を減らそうと何度も訴えましたが、そのA君のことを、「こいつは、うちの部
 活の問題児で、うちの部活を汚い爪でかき回している」 とか 「あいつとは縁が切れた。 つき
 あうな。 口も聞くな」 といっています。.... 今や音楽室はサティアンと呼ばれています。どうす
 ればよいでしょうか。

 

    杉田からの返事

A. 難しい問題です。 世の中には、いろいろな性格の人がいます。 また部活動で好成績を挙げ
 るためには並大抵のことでは出来ないことも事実でしょう。 いつも二律相反することが求め
 られます。なんとか生徒なりに上手くやってください。 ご健勝を祈ります。
V 教員採用に関するもの
1 身分保障について....... アメリカ人・Kさんから ...... 1998年8月
Q. 私は 6年前、在職期間の保障された教員になれませんでした。 それは貧弱な成績であった
  とされるためですが、私は校長は不公平だったと信じています。 6年経って再度、申請しま
  したが、今度は校長は推薦してくれましたが教育長等が名簿への登載について不賛成で
  す。
A. それは残念なことです。 とにかく良い成績が得られるように頑張ってください。
【原文の一部】 6 years ago I was not given tenure with XXX county. The reason was
    because of poor performance the third year ( I believe the principal was unfair and
    set me up but that's another story ). I has been 6 years and I reapplied with the same
     XXX county. The principal at one school wants me. She told me that I would be
    submitted for recommendation at the next board meeting.  My name never came up
    at the board meeting. The superintendent and personnel person decided not to submit
    it due to my not being given tenure 6 years ago. ......
2 『教育法規』の利用について....... S.H.さんから     平成10年(1998年) 9月
Q.  私、X県の私立大学で教職科目を担当しております。 S.H.と申します。 杉田様のホーム
  ページを始めて拝見させて頂きました。 非常に厳密な構成・内容に感嘆いたしました。 そこ
  で是非とも、今学期の私が担当いたします 『教育法規』 の貴重な資料とさせて頂きたいの
  です。
すなわち、本ページのデータをコピーして学生へ配布資料と致したいのです。 .........
A. 「 どうぞ 」。 【註】 返礼のメッセージが来た。

3 教員採用について..
..... M.さんから    平成11年(1999年)3月
Q.  私、工業高校の教員を目指しているのですが、教員採用試験に関して、他の教科と相違す
  る点があるか
どうか教えてください。
A. 県によって多少、違うかどうか知りませんが、多分、[教職 ・ 教養]などは受験区分の教科
  に関係なく共通だと思います。

4 日本の教員採用制度について....... ロンドン市 ・ B.W. さんから  平成11年(1999年)6月
Q. 日本では誰が教員免許状を授与しますか。大学ですか、それとも県教委ですか ? また、他県
 で教えようとする時には、その試験を受けなければなりませんか ?
A. 教員免許状は大学ではなく、各県[都道府県]教委が授与します。 また、他府県で教えようと
 する時は、特別の規定のない限り、その府県の試験を受けなければなりません。
【原文の一部】 I am reading your report : "Examination for service of teacher's in Japan"
    on the aba www page. I am researching about Jpanese education, particulary music
    education and the training of school teachings. ......Who issues the teaching licence ?
    Is it the university or the prefecural board of education ?  If a teacher wishes to
    change jobs and go to a school in another prefeture, do they have to take another
    exam by the new prefectural board of education ?

5 公務員の分限について..... A. Y.さんから     平成11年(1999年).6月
Q.  民間では厳しいリストラで解雇を余儀なくされた方が大勢います。 公務員の場合でも [定数
  の改廃]による分限処分 (いわゆる 公務員のクビ切り )があるのでしょうか ?
A.  公務員については、よくは知りませんが、公立学校にあっては、生徒数・学級数が予想でき
  ますので計画的に教員採用・人事異動をしていると思います。 従って定数上の過員の問題
  は比較的、少ないと考えられます。 しかし最近、私学では深刻な問題になりつつある学校も
  あると聞いています。
  公務員についても、民間ほど利益・損失の原理が作用せず、また広範囲に配転が出来ると
  いう利点「盲点」がありますが、今後少しつづ変わっていくことと思います。
【註】 [ 定員過剰] の問題に関連して、J 教育大学 大学院 2年生W. さんから [ アメリカ公立学
   校教員の過剰削減について修士論文を無事提出することが出来ました。
丁寧な助言をい
   ただき、有り難うございました]とのお礼のE-mail が届いた。 ..
       ・ 次へ続く..........W 教育諸問題など