3. インターネットによる体罰の研究(第一回)

Shoji Sugita

はじめに
    最近(1995年5月)、インターネットで検索を始めたが、今、国内の体罰問題から少し離れて、
    それによって主としてアメリカの資料を得て、できるだけこの問題を客観的に眺めてみようと
    考えた。 そこでいろいろ、やっているうちにALTA VISTAが多く持っていることがわかった。 
    勿論、YAHOOやCSJ,Japan SearchEngineも持っているが、こと体罰に関してはALTA 
    VISTAが豊富なように思われた。

    とにかく流れている資料はすべて英語、眼はチカチカするし疲れる。勿論、画面は止めること
    はできるし、印刷もできるが、関係の箇所を探さなければならない。 しかしとに角始めた。
  
    1995年2月15日、corporal punishment+school と入力したら、約4000件ありと出てきたの
    でビックリ。 school を抜いてみたら、5000件とあったので又ビックリ。それが3月6日に開い
    てみたら約6000件、翌7日には、schoolを入れたら約7000件、これを抜いてみたら約6000件
    と書かれてあった。 同じ方法でやってみたところ、3月29日には少し減っていた。 このように
    その数は時々刻々、変化しているのには驚いたが、実際に画面に流れているのは約200 件ぐ
    らいであるから検索するのにそれど心配しなくてもよい。それでは内容を見てみよう。

    corporal punishment と検索したのであるから、教員による体罰ケ- スが出てくるであろうと
    期待していたが全く違う。 どこか暗いバ−かキャバレ−の一室での"遊び感覚"としての鞭打
    ちゲ−ムも含まれている。 なるほど、考えてみれば、それも確かに鞭で打つのであるから体
    罰になるのであろう。囚人に対するもの、議会の法案、意見書等、教育委員会の規則、学校の
    ハンドブックその他、雑多である。

    次に、そのいくつかを紹介するが教育委員会の規則が多く、しかもその全文が載っている。
    体罰についての検索であるから、なにも全文まで必要ではないのであるが事実はそうで、
    その点、不便である。 しかし、これとても体罰以外の例えば、停学、退学などに関する規定や、
    いや服装規定、財政、奨学金、入学案内その他すべてのものが含まれているのであるから、
    それらのものを調べようとするときは極めて便利であるといえよう。これを使って教育委員会
    規則・規定の比較研究をされることもお勧めしたい。

    実は私は、体罰判例を、しかも最近のものを見たかったのであるが期待はづれであった。 
    それはやはり、Journal of Law & Education,Jefferson Law Book Company などの文献
    から検索するという正統的、古典的方法しかないのであろうか。


    しかし、それによっても体罰判例は少なくなっているので、それだけ人権尊重の意識が深まっ
    てきたのであろうか?あるいはO.J.シンプソンの事件に象徴されるように人種差別、性差別問
    題に波及することを恐れるあまり、教員が生徒の躾けから逃避しようとする雰囲気からきてい
    るのであろうか? 私がインタ−ネット上にホ−ムペ−ジを開いたのも、そのためであるが、妥
    当な結論を見いだすことは困難であろう。

     それでは各ケ−スの順序はどうなっているか。

    画面に出てくる順序は、いつ開いて見ても違っていて不便である(もっともYAHOO などには付
    いているが)。そのわけは、アクセスする数によって順位が上がったり下がったりするためで、
    テレビ番組の視聴率や人気商品の順位と同様である。したがって通し番号も付いていない。こ
    れも、誰かによってコントロ−ルされることを嫌い、利用者ひとりひとりの自然な動きに任せよう
    とするインタ−ネットそのものがもつ性格から来ているのであろうが、とにかく検索する者にとっ
    ては不便である。

    このようにして、とにかく開いて見ると、各ケ−スのoutline が書かれているので、教員による体
    罰に関係のありそうなものを選び出し、それを逐次、開いて見ていく。前に述べたように教育委
    員会規則・規定が非常に多いし、また参考にもなるので、まずこれについて見よう。

    Virginia州規程のなかの体罰関係規定 1995年  22.1-279.1
    一般的には体罰禁止である。しかし、次の場合は認められる。すなわち、

   以上、いろいろ述べたが、皆さんもインタ−ネットを利用して体罰問題を検討されることを、期待
   したい。これは、いじめ・bullyingについても同様である。しかし、私が少し、開いて見たところ余
   り参考にはならなかった。もっとも一瞥した程度なのでこれとても余り自信がない。

   "Spare the rod and spoil the child."なる諺は、今でも真理なのであろうか、それとも子供の
   人権の前では死語になったのであろうか。どうも妥当な方法があるように思えてならない。

 1995. 6月 記      無断転載禁止

追記(2005年12月末) 
  1. 最近のアメリカの
体罰統計については第129編を参照してください。 その一部は次のとおり
   である。
    ○ 連邦統計局の統計によれば、体罰は1970年代から大きく減少してきている。 それはこ
     の頃から違法とされる州や地教委が増え始めたからであるが、しかし依然として、その数
     はかなり多い。2000年度には全米で342,038名の公立学校生徒がパドルで打たれている。 
     もっとも1976年には150万人であったので減ってきている。
     【註】この項の原資料はWashington Post 2004年2月21日号である。

   ○ 2000年度ではMississippi州が最も多く、毎年約10%の生徒が叩かれている。 次いで
     Arkansas(9.1%)、 Alabama(5.4%)、 Tennessee(4.2%) である。
   ○ 少数派民族や親一人や貧困の家庭の子供の率が高い。 例えば黒人については人口比で、
     他の人種の約2倍といわれる。

  2. なお、
体罰問題については次ぎも参照してください。
    第24編  体罰問題 その一 、第25編、第26編.
  3. またアメリカ連邦最高裁『イングラハム』判決については第26-1編、英文については、第26-2編

  4. さらに最近のアメリカの体罰事例については第124編を参照してください。
    


追記2 (2006年1月末) なお、この判例の取り方と読み方については第177編を見てください。